絵本のそば

息子がスーツに合わせて、新しい黒のソックスを履いたところ、あまりにぴたっと肌と密着していたのがおかしくて、

「ピチっとしてるね」と笑ってしまいました。すると、

「ピチっとしますってなんかあったね。懐かしいね」と返してきました。それが、五味太郎の『クリスマスにはおくりもの』という絵本のことを言っているのだと気づくのに、そんなに時間はかかりませんでした。

寝る前に読み聞かせた絵本の一節を、何かの拍子に思い出すのは幸せなことですね。


池袋の三省堂書店に友人に連れて行ってもらったことがありました。

どの階もめぐりましたが、一番長くいたのは絵本のフロア。

自分が小さい時に読んだ絵本、子供と一緒に読んだ絵本を見つけて嬉しくなっていました。

友人は、あなたらしくて、楽しそうだったと後から言っていたので、よっぽどニコニコしていたのでしょう。


繰り返しよみたいなあと思うのは、「ルピナスさん」

たしか、どんな風に生きてもいいけど、世界を美しくしなければ、という意味の言葉があって、ときどき確認したいのかもしれません。


絵本の棚の前に立つと、昔、風通しの良い部屋で、足を投げ出して絵本を読んでいた小さい頃の私を思い出すことができて、不思議な感じがします。