本当に必要なご縁なら
離婚に精通している人はほとんどいない、と当事者になって初めて気がつきました。
だから、他の人が離婚直後に、子供とどういう話をしたかを知ることができませんでした。
仕事前に市役所へいき届けを出した日、帰宅すると、三男が1人で留守番をしていました。
お兄ちゃん達は、と尋ねると、テレビをみながら、バイト、と返事。
昨夜、長男に、届けを出す前にもう一度、お父さんと揃って離婚の話を俺たちにしてほしい、と夜中の2時ごろいい合いになって、それも聞いていた様子でした。
寒さもあったのかもしれませんが、毛布を抱えながらテレビを観ている息子は全てを察して不安になっているようにも見えました。
いつもは見ない相撲中継を見ている息子に、
「母さん、今日ね、離婚届けをだしに行ったのよ」
と勇気を出して言いました。
「ふうん」
息子は何でもないという様子でしたが、すぐに、表情は変わらないのに、涙だけがつうっと流れていったのです。
わーんと泣かれるより辛かった。
それでも、相撲中継を見続ける息子に、
「あのね、お父さんも、お母さんも今はこれが、一番いい関係でいられるって判断したの。
結婚したまま、どんどん喧嘩が増えていくの嫌だったの。
君達には申し訳なかったんだけど。ごめんね」
と私も泣けてきました。
しばらく毛布で涙を拭いていた息子が、気がついたように
「今はってことは、また、いつか良くなるかもしれないの?」
今日届けを出したばかりで、全く復縁は考えられませんでしたが、これでお終い、ということが受け入れがたい息子の気持ちも分かったので、
「本当に、必要なご縁ならまた一緒になるって言うけど‥」
と曖昧に答えるしかありません。
すると、無表情だった息子の顔が、ふうっと明るくなって、
「じゃあ、また結婚するかもしれないんだ。
そのときは、また、結婚式するの?」
と聞いてきました。
縫ったばかりの傷が開きそうだと思いながら、それにはうなづけませんでした。
あっさりと
「まあ、想定内だったよ。お母さん達は7年くらい前から変わってきちゃったから」
と納得していた長女をはじめ、4人の子供一人ひとりに話しをすることはできました。
いろいろ思うところはあるだろうし、批判もしたいだろうけど、親の私もこれが精一杯。
結婚の一つの形を見たとして、自分達のこれからに生かしてもらえたらと思います。