ドナルド・キーンさん

数ヶ月前の話になります。
久しぶりに本屋へ行ってみたら、ドナルド・キーンさんの追悼コーナーがあって、びっくりしました。
亡くなられたんだ‥。
東日本大震災のニュースを見て、いてもたってもいられず、日本国籍を取得された、というニュースを聞いて感動したのを覚えています。

この方がこんなに大事に思ってくれた日本のことを私はほとんど何にもしらないんだなあと、帰り道寂しくなってしまいました。日本の歴史や文化、政治など。

それで。
ドナルドキーンさんの本、少しずつ読み始めています。
こうして公表するのも、途中で挫折しないようにするためでもあります😅

同時進行の2冊。

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昨日、見つけました。


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読書メーター

20数年前、私の出産の手伝いのために1ヶ月以上福岡の新居に滞在してくれた母は、実家へ戻ってから、本を読むスピードが落ちた、頭に入らないと随分嘆いていたようです。

いま、子供達と読んでいた絵本から少しずつ活字ばかりの大人の本へ移行し始めましたが、私も読む速度が遅くなったなあと、母のこととダブらせてしまいます。

本を読むときは、誰かに話すなど、アウトプットを意識すると、内容を忘れにくいと知りました。

その他には、ノートに印象に残った文章を書く、とか。

でも、なかなか続かないかもしれません。

本好きの人のアプリがあるとどこかで読んで昨日、取り込んでみました。


すると、こんなに読書家がいるのか、とレビューの多さに驚きました。

読んだ本を登録すると、共読といって同じ本を過去に読んだかたのレビューもみることができます。

自分の深いところで感じたことを、見ず知らずの人と共有する不思議さ。


このアプリは、本が1人の楽しみだけでなく、余計な背景を必要としない、点のような、でもちゃんとしたコミュニケーションになり得るんだと気付かせてもらいました。



本を読まない生活なんて

私は事情があって、長く母と会えていません。

先日、電車通学している次男が

「おばあちゃんが、目の前にいたんだよ!

凄い集中してハードカバーの本を読んでいて、俺にも気がつかなかったの」

と、珍しく興奮して話してきました。

今年八十歳になる母。

「本当に、おばあちゃんだったの?」

と信じられない気持ちで尋ねたところ、

「しっかりした栞がみえたから、あれは絶対、おばあちゃん」

と断言してくれました。

しっかりした栞。ハードカバーの本。


間違いなく母でしょう。


孫の子供達が実家へ行って、母や姉に会いに行く自由は全然了承しているので、元気な様子も又聞きで知ることはできます。けれども集中して本を読んでいて、目の前の孫にも気がつかない、というエピソードに、ますます母の気魄というか、健勝ぶりが伝わって思わず笑ってしまいました。


父も母もよく本を読む人でした。

毎週決まって日曜日は、図書館に昼食後には連れていかれ、閉館間際まで過ごし、数冊は借りてきました。

静かな空間と、本の静謐さというか、思い出しても今でも癒される時間でした。


私が関東から結婚のため九州へ越す際に、本棚の本は置いていこうかなと父に漏らすと、父は少し気色ばんで、

「本を読まない生活なんて!本は持っていきなさい」

と言いました。

穏やかな父のめったにない様子に、新居に本だけはたくさん送ることになりました。


本はある方のブログで知ったのですが、開運ツールなんだとか。

その人が手にとる本、その中の言葉が天からのメッセージであったりするのだそうです。


母が読んでいたのはどんな本だったのだろう。


本を10冊‥‥

最近気をつけないといけないと思うことは、加齢を理由に「〜できなくなった」と言ってしまうこと。

次男に、最近母さん、理解力落ちたわと話したところ、

「そうなの?本を同時進行的に10冊読むといいらしいよ」

と返っててきました。

本を10冊‼︎


台風一過の今日も1日家にいたので、本棚や、家族の誰かの本を見てみました。

『二つの母国に生きて』ドナルド・キーン

『森の生活』ソロー

『58歳から日々を大切に小さく暮らす』ショコラ

『人生は美しいことだけ憶えていればいい』佐藤愛子

『このひとすじにつながりて』ドナルドキーン

『見守られて生きる』矢作直樹

『絵のある自伝』安野光雅

『運命の人』田宮陽子

『悼む詩』谷川俊太郎

『数学力は国語力』齋藤孝


人生と絡んだ本が多いのですが、少しずつよんでいこうかと思います。

絵本のそば

息子がスーツに合わせて、新しい黒のソックスを履いたところ、あまりにぴたっと肌と密着していたのがおかしくて、

「ピチっとしてるね」と笑ってしまいました。すると、

「ピチっとしますってなんかあったね。懐かしいね」と返してきました。それが、五味太郎の『クリスマスにはおくりもの』という絵本のことを言っているのだと気づくのに、そんなに時間はかかりませんでした。

寝る前に読み聞かせた絵本の一節を、何かの拍子に思い出すのは幸せなことですね。


池袋の三省堂書店に友人に連れて行ってもらったことがありました。

どの階もめぐりましたが、一番長くいたのは絵本のフロア。

自分が小さい時に読んだ絵本、子供と一緒に読んだ絵本を見つけて嬉しくなっていました。

友人は、あなたらしくて、楽しそうだったと後から言っていたので、よっぽどニコニコしていたのでしょう。


繰り返しよみたいなあと思うのは、「ルピナスさん」

たしか、どんな風に生きてもいいけど、世界を美しくしなければ、という意味の言葉があって、ときどき確認したいのかもしれません。


絵本の棚の前に立つと、昔、風通しの良い部屋で、足を投げ出して絵本を読んでいた小さい頃の私を思い出すことができて、不思議な感じがします。


子育て以外の

長男の就職が決まって、来春には家を出て行くことになりました。

単身赴任や出張の多い夫の代わりに、私をよく支えてくれて、本当に感謝、感謝でした。

もしかしたら、不在の夫より私を理解してくれていたのかもしれません。

そのことを彼に伝えると、「まー、不本意ながら、ね」と返ってきました。

彼の下にまだ3人の子供達がいて、まだまだ私の子育ては終わらないのですが、最近子育て後の自分のことをよく考えるようになりました。

お母さんになれたことはとても楽しい、幸せな時間でした。子供の先天的な病気や入院、手術など心配なことは次々ありましたが、それを払拭するくらいの子供のパワーを毎日もらって、元気でいられたのだと思います。

ところが長男に、僕、子育てしているお母さん以外知らないんだよね、と言われて、そういえばと考えてしまいました。

私ってどういう人だったんだろう。

長い間、お母さん役をやっているうちに忘れてしまっていることたくさんありました。

ある方のブログになぜか小さい時からよくやっていたこと、ご飯や寝ることを忘れるくらい夢中になっていたことなど思い出すことで、自分の性質とか才能が分かってくる等書いてありました。

これだ!と確信できるほど、自分に直結しているようなところまでは思い出せないのですが、お母さんから私へシフトしていく時期なのかもしれません。

子育て後は自分へ還っていくんですね。

とうに越えて

子供が大きくなったなあ、と感じるひとつが、親の私を今までとは違う感覚で見てくれていると気付くことです。

雨が続いた数日、六人家族の洗濯物が溢れかえっているのに気が付いた長男が、レンタカーを借りてくれたらコインランドリーに運ぶよと言いました。

車のない我が家、めったにレンタカーも借りないのですが、このときは即決しました。

コインランドリーで洗濯物を回して、近くのマックでお昼を食べても、まだまだ車は使えます。

「もったいないね。どっか行く?」

と長男。特に思い当たらないのが出不精の付けのようで、とりあえず

「アウトレットにしようか」

平日の昼間のアウトレットはがらがらで見たいお店もすぐ回ってしまいました。

この春から私服登校の高校に通うことになったボーイッシュな娘が、全く服を持っていないことに気が付いて、彼女のTシャツを長男と選ぶことになりました。

私は子供も服はTPOに外れなければ親の好みではなく、なるべく自分の好きなものを着るべきだと思っているので、本人不在で服を選ぶのが苦手です。長男がなんとなく把握している妹の好みを考えながら、赤に鳥がプリントされた、登山用の有名ブランドのものを一枚買いました。

「赤って平気かな」

と、レジに並んでいるときに、黒ばかりきる娘が思い浮かんで長男に聞きました。

えっ、今更と彼は困惑しながら、それでも少し考えてから

「いや、でも赤のイメージがあったから、奴には。赤、似合うと思うし」

と変えませんでした。

帰宅すると娘もすぐに帰宅したので、お茶の用意をしながらTシャツを渡しました。

「どお?お兄ちゃんと選んだんだけど」

小学生の弟もお茶の席に嬉しそうについたところでした。

娘はもともと不愛想のほうでしたが、この日はとくに不愛想で、差し出されたTシャツを少し眺めると

「ボクは着ないな。ママが着るならどうぞ」

と押し返してきました。

「あれ駄目だった?似合うと思ったんだけどなあ」

のんびり長男が返すのも聞かないうちに、私は怒りが抑えられなくなりました。

「買ってもらったら、まずありがとうだよね。気に入らなければ着なくていいけど、何なのその態度は!」

それから娘が泣くまで怒り続けてしまいました。

深夜、バイトから帰宅した次男に、長男が今日の茶菓子、味なかったわと話していました。

「兄ちゃん、一番きついやん。家族のためにいろいろやったのに、菓子、味がないなんて」

とおかしそうに次男が私を責めるので、

「あれは、彼女が(心に)刺さらないといけないと思ったからあえて母さんは怒りました」

と開き直ると長男が

「刺さったのはあなたでしょ。あなたが刺さったから怒ったんだよね」

とコーヒーを啜りながら静かにいいました。

 

ああ、その通り。

私はいろいろ長男が動いてくれている過程も知っていたし、就活で煮詰まっているのもわかっていたし、娘の心ない言葉にふかく傷ついたのです。

 

自分の気持ちを優先することなく、私の気持ちを読み取る長男は、私の許容をとうに越えて大きくなっていたのでした。